コラム「経済学の魅力を熱く語る」【連載第9回】

Home/(連載)経済学の魅力を熱く語る, 未分類/コラム「経済学の魅力を熱く語る」【連載第9回】

コラム「経済学の魅力を熱く語る」【連載第9回】

第九回「サボる地域とサボらない地域(その6、最終回)」

皆さんこんにちは。労働経済論(労働経済学)担当の髙橋主光です。長らく更新が止まっていて本当にすみません。ホームページリニューアルの関係で、更新がストップしていました。引き続き、定期的なアップロードを行っていきますので、宜しくお願い致します。

さて、前回のコラムまでは、イタリアの銀行における、北部の支店と南部の支店との間での「サボり癖」の違いの要因のうち、「南部・北部のいずれで生まれたかによって、気質が違う」「南部の方がより気候が良く、ビーチなどの遊びたくなる場所も多いのでサボりたくなる」が妥当そうだということ、「よりサボらない人ほど、北部(本店がある地域)に引っ越す(転勤する)」がひょっとしたら妥当かも知れないということについて話してきました。

今回は、想定された四つの要因のうち最後、「周りの人のサボり癖が、自分のサボり癖に影響しているから」に関してです。皆さんは、周りのみんながサボっている作業を、自分だけ張り切って行う事ができますか?「はい」と答えられた方は、かなり意志の強い方です。「空気を読む」という言葉があるように、周りの人と違う行動をとる事には勇気がいるものです。今回取り上げた研究では、「サボり癖」に、同じ店舗で働いている同僚の「サボり癖」が影響を与えているかを確認しています。しかし、「周りの人のサボり癖」が「自分のサボり癖」に影響しているかを見る事には難しさが伴います。例えば、ある支店の人たちがAさんに影響を与えて、Aさんがサボったとします。それは、同時に支店全体のサボり癖を強める効果を持ちます。結局「鶏が先か、卵が先か?」のような問題が引き起こされるのです。今回取り上げている研究では、そうした問題に対し「転勤者のデータだけを持ってきて、転勤前と転勤後のサボり癖の変化に、転勤前と転勤後のそれぞれの『支店全体のサボり癖』」が影響しているのか」を確認するなどの方法で対処をしています。分析の結果としては、周りの人がサボると、自分のサボり癖が強くなる、という結論を得ています。

長くなった今回のトピックも、ここでおしまいです。次回からは新しいトピックに移ります。それではまた。

Ichino, Andrea and Giovanni Maggi (2000) “Work Environment and Individual Background: Explaining Regional Shirking Differentials in a large Italian Firm”, Quarterly Journal of Economics, Vol.115, Issue 3, pp.1057-1090.
2016-10-20T16:06:35+00:00 2016年 7月 28日|(連載)経済学の魅力を熱く語る, 未分類|