【連載第3回】審判が公平でなかったら?(後編)

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【連載第3回】審判が公平でなかったら?(後編)

 こんにちは。労働経済論(労働経済学)担当の髙橋主光です。前回のコラムでは、アメリカではプロ野球リーグにおける審判の「ひいき」をなくすために、ビデオによる誤審判定システムなどの対策が取られているというお話をしました。「判定の違いを作りにくい状況にしてしまう」ということです。
 では、当事者であるピッチャーはそのような誤審判定システムだけを頼りにし、何の対策も取らずにいるのでしょうか?全ての球場に誤審判定システムが存在するわけではないですし、プレーオフ進出のかかっていない消化試合でも、ピッチャー本人にとっては、自分の成績(ひいては成績に基づく給料)に関わる問題ですから、それでは余りに心もとないですね。
 結論を言うと、ピッチャーは、審判の人種が自らの人種と異なる場合、ストライクゾーンぎりぎりの球や変化球と言った、判定の難しい球を投げにくくなります。ストライクゾーンぎりぎりの球や変化球は、ストライクかボールかの判定が難しく、審判が判定を厳しくしやすい球になるので、ピッチャーはそうした「際どい球」でなく、ストライクをボールと判定されにくい球を投げる、という選択をしやすくなります。これによって、誤審判定システムと同様に、「ひいき」をする「値段」を上げてしまう(ど真ん中への直球のようなあからさまなストライクをボールと判定するのは、非常に勇気がいります)ということになります。
 これで、三回続いた「審判の公平さ」のお話は終わりです。次回はまた別のトピックに関してお話しします。

Persons, Chiristopher A., Johan Sulaeman, Michael C. Yates, and Daniel S. Hamermesh (2011) “Strike Three: Discrimination, Incentives, and Evaluation,” The American Economic Review, Vol.101, No.4, pp.1410-1435.
高橋主光(2011)「論文Today : 評価の恣意性と成果主義的賃金制度──大リーグの判定データからの示唆」『日本労働研究雑誌』614号、pp.76-77
2016-10-20T16:06:35+00:00 2015年 9月 11日|(連載)経済学の魅力を熱く語る|